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智将KIが可能にする連携された分析とシミュレーション ERPデータで変わる経営計画の作り方 | 株式会社ソレイユ財産管理

智将KIが可能にする連携された分析とシミュレーション
ERPデータで変わる経営計画の作り方

目次

KPIによる経営計画の限界と智将KIが実現する革新とは?

KPIは「一人当たり売上」「店舗別生産性」など集約された指標のため、

①個人の具体的行動計画に落とし込めない
②「なぜその数値になったか」の要因分析ができない
③改善のための具体的施策が見えない

という限界があります。智将KIは個別ERPデータから積み上げる経営計画により、メニュー別・時間帯別・テーブル別など具体的データでシミュレーションし、現場で実行可能な目標設定を実現します。

前回のおさらい:決算書・KPIでは見えない経営の真実

前回、決算書や試算表の3つの根本的限界(集約の罠、データ分離の壁、未来予測の断絶)をお話ししました。

今回は、多くの中小企業が導入している「KPI経営」についても同様の限界があることを確認し、智将KIがどのように従来の経営計画作成方式を革新するかを具体的に解説します。

KPI経営の落とし穴:平均値の罠と表面的指標の限界

KPIとは何か?なぜ限界があるのか?

KPIは「重要業績評価指標」として、経営状況を数値で把握・管理する手法です。

中小企業でよく使われるKPI例

• 一人当たり売上高:月間売上÷従業員数
• 客単価:総売上÷来客数
• 商品回転率:売上原価÷平均在庫
• 労働生産性:付加価値÷労働時間
• 顧客満足度:アンケート評価の平均値

KPI経営の3つの根本的限界

【限界1:集約データによる「なぜ?」の見えない化】

具体例:飲食店の「客単価1,200円」というKPI

KPIデータ

• 客単価:1,200円
• 前月比:95%(60円減少)
• 目標:1,300円(対前年110%)

このKPIから見えないもの

• どのメニューの注文が減ったのか?
• どの時間帯の客単価が下がったのか?
• どの客層の注文パターンが変化したのか?
• 価格改定の影響はどの程度だったのか?
• 競合店出店の影響はどこに現れているのか?

KPIの問題点

「客単価向上」という目標は設定できても、「どのように向上させるか」の具体的施策が見えません。

【限界2:個人の行動計画への落とし込み不可能】

製造業での「一人当たり生産性」KPIの問題

現状KPI

• 一人当たり生産性:月間200万円
• 目標:月間220万円(10%向上)

KPIから個人目標への従来の落とし込み方法

• 全員一律:生産性10%向上
• または経験・勘による個別目標設定

この方法の問題点

1. 個人の技能レベル差を無視:ベテランと新人に同じ目標率
2. 担当業務の違いを無視:複雑な工程と単純な工程で同じ目標率
3. 具体的行動指針の不在:「10%向上せよ」だけで方法論なし
4. 達成可能性の検証不足:設備・技術的制約の考慮なし

【限界3:改善施策の具体性不足】

小売業での「商品回転率」KPIの限界

KPI分析結果

• 商品回転率:年6回
• 業界平均:年8回
• 改善目標:年7回

KPIベースの改善施策(一般的・抽象的)

• 売れ筋商品の仕入れ強化
• 死に筋商品の早期処分
• 発注サイクルの見直し

この施策の問題点

1. 商品個別の分析不足:どの商品をどう改善すべきか不明
2. 季節性・トレンドの無視:時期的要因の考慮なし
3. 顧客ニーズとの乖離:データ重視で現場感覚軽視
4. 改善効果の予測不可:施策実行による具体的効果が不明

従来の経営計画作成方式の問題点

「対前年比○○%」方式の限界

【一般的な経営計画作成手順】

ステップ1:総括目標の設定

• 売上目標:対前年110%
• 利益目標:対前年115%
• 経費目標:対前年105%

ステップ2:部門別目標への分解

• 営業部:売上110%(3,300万円→3,630万円)
• 製造部:生産効率110%
• 管理部:間接費105%

ステップ3:個人別目標への割り付け

• 営業A:売上110%(1,000万円→1,100万円)
• 営業B:売上110%(800万円→880万円)
• 製造C:生産性110%

【この方式の5つの重大な問題】

問題1:実現可能性の検証不足

• 市場環境の変化を考慮せず前年実績をベースに設定
• 個人の能力・環境変化を無視した一律的目標設定
• 競合状況・顧客ニーズ変化の影響を未考慮

問題2:具体的行動計画の不在

• 「110%達成せよ」という結果目標のみ
• 「どのように達成するか」の方法論なし
• 日々の業務における具体的指針なし

問題3:相互関係の無視

• 売上向上が原価に与える影響を未考慮
• 品質向上のための工数増加と生産性目標の矛盾
• 部門間の連携・影響関係を無視した個別最適化

問題4:進捗管理の困難

• 月末まで結果が分からない
• 途中経過での軌道修正が困難
• 問題発生時の原因特定に時間がかかる

問題5:モチベーション低下

• 根拠不明な目標への不信
• 達成方法不明による不安
• 個人の努力と結果の因果関係不明

智将KIが実現するERPデータ積み上げ式経営計画

ERPデータを活用した革新的経営計画作成手法

【従来方式との根本的違い】

項目

従来の方式

智将KI方式

出発点

前年実績の総計

個別取引データの集合

計画方法

上から下への分解

下から上への積み上げ

具体性

抽象的目標値

具体的行動データ

検証方法

結果での事後確認

リアルタイムシミュレーション

修正方法

年次・四半期単位

日次・週次単位

 

【実例】年商1億円イタリアンレストランの経営シミュレーション

従来方式での計画作成

目標設定

• 年商:1億円→1億1,000万円(110%)
• 客数:83,333人→91,666人(110%)
• 客単価:1,200円→1,200円(現状維持)

問題点

• なぜ客数を10%増やせるのか根拠不明
• どの時間帯・曜日に増客するのか不明
• 客単価維持の根拠・方法不明
• 人件費・食材費への影響不明

智将KI方式での計画作成

【ERPデータ基盤の構築】

智将KIが管理する詳細データ:売上高の1億円を複数の切り口から分解できる。

①メニュー別売上構造データ

ランチメニュー

– ペペロンチーノ:年間15,000食×800円=1,200万円
– マルゲリータピザ:年間12,000食×1,000円=1,200万円
– パスタランチセット:年間18,000食×1,100円=1,980万円
– その他ランチ:年間合計1,620万円
– ランチ小計:6,000万円

ディナーメニュー

– コースメニュー:年間8,000食×平均2,500円=2,000万円
– アラカルト:年間売上1,200万円
– ワイン・ドリンク:年間売上600万円
– その他ディナー:年間合計200万円
– ディナー小計:4,000万円

合計:1億円

②時間帯別売上構造データ

ランチタイム(11:30-14:30)

– 平日:1日平均17万円×240日=4,080万円
– 土日祝:1日平均15.5万円×125日=1,938万円
– ランチ合計:6,018万円

ディナータイム(17:30-22:00)

– 平日:1日平均9万円×240日=2,160万円
– 土日祝:1日平均14.6万円×125日=1,825万円
– ディナー合計:3,985万円

合計:1億3万円(月初・月末の営業調整で合計1億円)

③テーブル別・客席稼働データ

4人テーブル×8席

– ランチ稼働率:平日60%、土日祝80%
– ディナー稼働率:平日35%、土日祝65%
– 年間売上寄与:5,200万円

2人テーブル×6席

– ランチ稼働率:平日70%、土日祝85%
– ディナー稼働率:平日45%、土日祝70%
– 年間売上寄与:3,200万円

カウンター席×8席

– ランチ稼働率:平日40%、土日祝60%
– ディナー稼働率:平日25%、土日祝45%
– 年間売上寄与:1,600万円

合計:1億円

④来店グループ人数別売上データ

1人客:年間15,000人×平均900円=1,350万円
2人客:年間25,000人×平均1,200円=3,000万円
3人客:年間18,000人×平均1,400円=2,520万円
4人客:年間15,000人×平均1,800円=2,700万円
5人以上:年間4,300人×平均2,000円=860万円

合計:77,300人×平均1,293円≒1億円

智将KIによる具体的シミュレーション実行

【シミュレーション1:メニュー戦略による売上向上】

現状分析

• ペペロンチーノ:人気メニューだが客単価800円と低め
• パスタランチセット:回転率高く利益率も良好
• アラカルト:利益率高いが注文率低い

改善シミュレーション

1. ペペロンチーノ セット化戦略

o ペペロンチーノ単体→サラダ+パン+ドリンクセット
o 価格:800円→1,200円
o 予想注文率:現状の70%(10,500食)
o 効果:10,500食×1,200円=1,260万円(+60万円)
o 原価改善:セット化により原価率3%改善
o 利益増:1,260万円×3%=38万円


2. アラカルト推奨強化

o ディナー客への積極的推奨
o 目標:アラカルト注文率25%→35%向上
o 対象客数:ディナー年間25,000人
o 増加注文:25,000人×10%×平均1,200円=300万円
o 利益率65%:300万円×65%=195万円

シミュレーション結果(メニュー戦略)
• 売上増加:360万円
• 利益増加:233万円
• 達成手段:具体的な商品・価格・推奨方法が明確

【シミュレーション2:時間帯戦略による売上向上】

現状分析

• 平日ランチ:稼働率60%(改善余地あり)
• 平日ディナー:稼働率35%(大幅改善余地)
• 土日ディナー:稼働率65%(まずまず)

改善シミュレーション

1. 平日ランチタイム延長戦略

o 営業時間:14:30→15:30に延長
o 対象:近隣オフィス・ショッピングセンター利用者
o 予想効果:平日1日あたり+3万円
o 年間効果:3万円×240日=720万円
o 追加人件費:1日3,000円×240日=72万円
o 純利益増:648万円

2. 平日ディナー早割戦略

o 17:30-18:30来店客15%割引
o 目標:平日ディナー稼働率40%→60%
o 増加売上:平日1日+5万円×240日=1,200万円
o 割引影響:1,200万円×15%=180万円
o 純増売上:1,020万円
o 利益率55%:1,020万円×55%=561万円

シミュレーション結果(時間帯戦略)

• 売上増加:1,920万円
• 利益増加:1,209万円
• 達成手段:営業時間・割引制度の具体的変更が明確

【シミュレーション3:客席効率化による売上向上】

現状分析

• 4人テーブル:高稼働だが2人客利用時の効率低下
• 2人テーブル:適正稼働
• カウンター席:活用不足

改善シミュレーション

1. 可変席レイアウト導入

o 4人テーブル2席→2人テーブル4席に変更可能な設計
o ランチタイム2人客対応力向上
o 予想効果:2人客受入数20%増(年間5,600人増)
o 売上増:5,600人×1,100円=616万円

2. カウンター席活用促進

o 1人客誘導強化
o カウンター限定メニュー導入
o 予想効果:1人客数30%増(年間3,600人増)
o 売上増:3,600人×950円=342万円

シミュレーション結果(客席戦略)

• 売上増加:958万円
• 設備投資:可変席導入費100万円
• ROI:958万円÷100万円=9.58倍(優秀)

統合シミュレーション:智将KIが計算する総合効果

【3戦略統合実行のシミュレーション】

統合効果計算

メニュー戦略:+360万円
時間帯戦略:+1,920万円
客席戦略:+958万円
—–
単純合計:3,238万円

統合効果調整

– 時間帯延長×客席効率化の相乗効果:+180万円
– メニュー戦略×時間帯戦略の相乗効果:+120万円
– 客数増加による原価スケールメリット:+150万円
—–
統合効果:+450万円

最終予測売上:1億円+3,238万円+450万円=1億3,688万円

対前年比:136.88%

智将KIが作成する「目標損益計算書」(評価目標)

【重要】目標損益計算書は個別具体的目標を集約した評価結果です

通信簿(損益計算書)は経営評価において重要ですが、本当の目標は通信簿の数字ではなく、それを実現する個別具体的目標です。智将KIは具体的行動目標の積み上げとして目標損益計算書を作成します。

【2026年度目標損益計算書】

売上高:136,880,000円(前年比136.9%)
├メニュー別売上内訳
│ ├ペペロンチーノセット:12,600,000円
│ ├アラカルト強化:21,000,000円(+300万円)
│ └その他:103,280,000円
├時間帯別売上内訳
│ ├ランチ:87,250,000円(+2,055万円)
│ └ディナー:49,630,000円(+1,345万円)
└客席別売上内訳
├テーブル席:114,600,000円(+616万円)
└カウンター:22,280,000円(+342万円)

売上原価:54,752,000円(原価率40%、スケール効果含む)
売上総利益:82,128,000円(総利益率60%)

販管費
├人件費:41,064,000円(売上増に伴う増員分含む)
├家賃:7,200,000円
├水道光熱費:4,100,000円
├その他:8,500,000円
└販管費計:60,864,000円

営業利益:21,264,000円(前年比約310%)
営業利益率:15.53%

まとめ:ERPデータ積み上げ式が実現する経営計画の革新

従来の「対前年比○○%」による経営計画は、実現可能性や具体的行動方法が不明確でした。智将KIが提唱するERPデータ積み上げ式では、メニュー別・時間帯別・客席別・客層別など、個別の具体的データから経営計画を作成します。

この方式により、目標損益計算書は「個別具体的目標を集約した評価結果」となり、現場スタッフには「なぜその目標か」「どうやって達成するか」が明確な行動目標を提示できます。通信簿(損益計算書)は重要な評価指標ですが、本当の目標は通信簿の数字ではなく、それを実現する個別具体的行動なのです。

よくある質問(FAQ)

Q1: 智将KIは飲食業以外の業種でも使えますか?

A: はい。智将KIは製造業、小売業、建設業、サービス業など、幅広い業種に対応しています。各業種の特性に合わせて、売上構造・原価構造・業務プロセスをカスタマイズし、業種固有の分析機能も提供します。ERPデータの積み上げ方式は業種を問わず効果的です。

Q2: 従来のKPI管理と併用できますか?

A: はい。智将KIは従来のKPIを否定するものではなく、KPIをより具体的な行動計画に落とし込むツールとして活用できます。KPIで全体管理、智将KIで現場行動管理という使い分けが効果的です。

Q3: 小規模企業でもERPデータの蓄積は可能ですか?

A: はい。智将KIは中小企業向けに設計されており、日々の売上・仕入・顧客データから段階的にERPデータベースを構築できます。POSレジや簡単な販売管理システムからでも開始可能です。

Q4: AIによるシミュレーション結果をどの程度信頼できますか?

A: AIの提案は「判断材料の一つ」として活用してください。最終的な経営判断は人間が行います。ただし、データに基づく客観的分析により、勘や経験だけでは見えない改善機会を発見できます。

Q5: 導入にはどのような準備が必要ですか?

A: 既存の売上データ・顧客データ・商品データがあれば導入可能です。手書き管理の場合も、3ヶ月程度のデータ入力により基本的なシミュレーション機能を利用開始できます。

次回予告:AI機能による高速・多角的シミュレーション

【9月上旬配信予定】 「智将KIのAI機能が実現する革新的シミュレーション – 複数シナリオを数分で比較検証」
次回は、智将KIの最も革新的な機能であるAIシミュレーション機能について詳しく解説します。

従来のExcel計算との決定的違い:手計算では不可能な複合要因分析
具体的個別の目標の設定が可能になる
実例:新メニュー導入シミュレーション:グルテンフリーパスタ導入の影響を多角的分析
3つのシナリオ同時検証:保守的・標準・楽観的予測の自動計算
AIによる継続学習機能:実績との差異から予測精度を段階的向上
未来決算書の自動生成:シミュレーション結果を即座に損益計算書で表示

この記事のまとめ

1. KPI経営の限界:集約データでは個人の具体的行動計画に落とし込めない
2. 従来計画方式の問題:対前年比による上からの分解は実現可能性が低い
3. ERPデータ積み上げ方式:個別データから積み上げる計画は具体性と実現性が高い
4. AIによる高速シミュレーション:複数シナリオを短時間で比較検証可能

【次のアクション】

現在の経営計画で「なぜその目標なのか?」「どうやって達成するのか?」に明確に答えられない経営者の方は、智将KI開発プロジェクトへのご参加をご検討ください。業界特有の課題をお聞かせいただき、本当に現場で使える経営計画システムを一緒に構築しましょう。

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