40年間、中小企業を見続けた税理士の疑問から始まった挑戦
こんにちは。私は40年間にわたって税理士として、数多くの中小企業の経営を見続けてきました。そんな私がずっと抱いていた疑問があります。
なぜ中小企業には「経営者のため」のソフトウェアが存在しないのでしょうか?
この疑問から始まった私たちの挑戦を、全6回でお伝えしていきます。
中小企業の現実:バラバラに存在する業務処理用ソフト
まず、中小企業で実際に使われているソフトウェアを見てみましょう。
現在の中小企業で使われているシステム
- 会計ソフト:弥生会計、freee、マネーフォワードなど
- 給与計算ソフト:給与奉行、給与王など
- 購買管理ソフト:受発注管理、在庫管理システムなど
- 顧客管理ソフト:Salesforce、kintone、Excel管理など
一見すると、システムは充実しているように見えます。しかし、これらには決定的な共通点があります。それは、すべて「業務処理用」のソフトウェアなのです。
主に総務・経理・営業事務の担当者が使用し、個別業務を効率化するためのツールに過ぎません。経営者の戦略的意思決定を直接支援する機能は、どこにもありません。
データの流れと経営者の現実
これらのデータは最終的に、会計ソフトから試算表として出力され、経理担当者か会計事務所から経営者に月次報告される流れになっている会社が多いのではないでしょうか?
つまり、経営者は常に「結果報告」を受けるだけの立場に置かれているのです。
「通信簿経営」の限界:なぜ決算書だけでは経営できないのか
会計データは「通信簿」に過ぎない
会計ソフトから出力される試算表や決算書は、確かに重要なデータです。株主総会に提出する重要な資料であり、銀行融資や税務申告に必要な、社会的に通用する公的文書としての価値があります。しかし、これらは学校の「通信簿」と同じ性質を持っています。
- 過去の結果を評価:1年間の経営成績を一定ルールで数値化
- 改善方法は示さない:「売上が下がった」は分かるが「なぜ下がったか」「どう改善すべきか」は不明
- わかるのは結果のみ:学校の通信簿で言えば国語の成績が上がった、算数の成績が下がった等、決算書で言えばルールに基づいて分類表示された数値の結果がわかるだけ
- 行動指針にならない:数字の羅列では、明日から具体的に何をすべきかが見えない
多くの経営者が陥る悪循環
多くの中小企業経営者は以下のパターンに陥っている方が多いようです。
- 月次報告:経理担当者や会計事務所から前月の試算表説明を受ける
- 結果分析:「売上が下がりました」「利益率が悪化しました」という結果報告を受ける
- 一般的助言:「売上を上げましょう」「コストを削減しましょう」という通信簿に基づく抽象的アドバイス
- 行動停止:具体的な改善策=具体的な社員に対する指示が見えず、次月も同じパターンを繰り返す
重要な気づき:通信簿の読み方を覚えても成績は上がらない
考えてみてください。学校の通信簿の読み方を何度勉強しても、成績は上がりません。成績を上げるために必要なのは「日々の勉強の質と量」の改善です。
経営も同じです。通信簿(決算書)の数字を改善するには、その結果を生み出した「戦略・戦術・日々の行動」を改善しない限り、成果は変わりません。
業種別に見る:中小企業が抱える具体的なシステム課題
中小企業が直面しているシステム課題は、業種を問わず共通の構造的問題から生まれています。それは「業務処理用システムがバラバラに動作し、経営判断に必要な統合情報が得られない」という根本的な課題です。
飲食業
POSシステム、在庫管理、仕入管理、予約管理が個別に動作しているため、会計システムで「今月の利益が下がった」という結果は把握できても、どのメニューが不調なのか、食材ロスがどこで発生しているのか、勤務シフトに無駄がないかを分析するために各部署でそれぞれのシステムから数値を集めて分析する必要があり、結果を出すまでに時間がかかってしまいます。
飲食店チェーン(年商3億円)
毎月の会計報告で「原価率が前月比3%上昇」という報告を受けても、それが食材価格の高騰なのか、廃棄ロスの増加なのか、メニュー構成の変化なのかの特定に1週間以上かかり、対策が後手に回ってしまいます。
小売業
POSシステム、在庫管理、仕入管理が個別システムで連携不足のため、「売上が下がった」は分かっても、どの商品の需要変化が影響しているのか、季節要因なのかトレンド変化なのかが見えず、次の仕入計画を立てる判断材料が不足している状況です。
アパレル店(年商2億円)
月末の売上報告で「今月の売上が前年同月比12%減少」と聞いても、どのカテゴリーの商品が不調なのか、年齢層別の売上動向はどうかの分析に時間がかかり、バイヤーは経験と勘に頼った発注を続けるしかなく、結果として売れ残り商品の在庫処分や、人気商品の欠品による売上機会損失が頻発しています。
自動車整備業
、顧客管理、作業管理、部品管理、売上管理システムが分離して運用されているため、「今期の利益が少ない」は分かっても、どの作業が利益を圧迫しているのか見えず、次回車検時期の予測や部品交換タイミングの最適化ができません。
自動車整備工場(年商1.5億円)
四半期決算で「想定より利益率が4%低い」という報告を受けても、人件費が膨らんだ作業なのか、部品仕入れが予算オーバーしたのかの特定に時間がかかり、顧客の車検時期管理も手作業で非効率なため、定期的なメンテナンス提案や部品交換の先回り提案ができず、顧客の他社流出や単価向上の機会を逃しています。
サービス業
予約管理、売上管理、顧客管理が個別システムで運用されているため、「客単価が下がった」は分かっても、どのサービスの需要が変化しているのか、時間帯別・スタッフ別の売上分析ができず、スタッフ配置の最適化判断材料が不足している現実があります。
美容院チェーン(年商4億円)
月次報告で「平均客単価が前月比8%減少」と聞いても、どの店舗のどのメニューが影響しているのか、時間帯による差があるのか、スタッフのスキルレベルと売上の相関関係はどうかの分析に時間がかかり、スタッフのシフト調整も経験頼みになっているため、忙しい時間帯に人手不足で売上機会を逃したり、暇な時間帯に人件費が無駄になるケースが頻発しています。
これらの課題に共通しているのは、「結果は分かるが、原因と対策が見えない」という点です。どの業種でも、会計システムから「売上が下がった」「利益率が悪化した」という結果報告は受けられますが、その背景にある具体的な要因分析と、明日から実行すべき改善アクションが見えないのが現状です。
なぜ大企業にはできて、中小企業にはできないのか?
大企業における解決策:ERPシステムの導入
実は、この統合管理の課題は大企業では既に解決されており、大企業が採用している解決策は以下の2つです。
- 組織力による解決:経営企画部門・情報システム部門・各事業部門の連携
- ERPシステムの導入:SAP、Oracleなどの統合基幹システム
大企業がERP導入を実現できる理由
- 予算規模:数千万円〜数億円のシステム投資が可能
- 専門人材:情報システム部門に専任スタッフを配置可能
- 導入期間:1-3年の長期プロジェクトを実行できる体制
- 運用体制:システム管理者・データ分析者を雇用可能
中小企業が直面する3つの壁
1.コストの壁
- 大企業向けERPの導入費用:3,000万円〜1億円以上
- 年間保守費用:数百万円〜数千万円
- 中小企業の年商に対する負担が過大
2.人材の壁
- システム導入の専門知識を持つ人材がいない
- 導入後の運用・管理を担当する専任者を雇用する余裕がない
- 既存スタッフは日常業務で手一杯
3.時間の壁
- 長期間のシステム導入プロジェクトを進める余裕がない
- 業務を止めてのシステム移行が困難
- 短期間での効果実感が必要
転機:AIとオフショア開発が常識を変える
私たちが手に入れた2つの革新技術
幸いなことに、今、私たちは新しい技術を手に入れました。
- AI技術の飛躍的進歩
- 海外の優秀な開発チームとの連携
この技術革新により、大企業にしかできなかったERPを、中小企業でも現実的なコストで導入できる時代が到来しました。
AI技術がもたらす2つの革新
1.開発効率の劇的向上
- プログラミング工数を大幅に削減可能
- システム設計から実装まで従来の1/3の期間で完成
- バグ検出・修正の自動化により品質向上
2.組織機能のAI化
- 大企業の経営企画部門が行う分析作業をAIが代行
- データ分析・レポート作成・予測シミュレーションを自動化
- 複数人で行っていた業務を1人+AIで実現
オフショア開発の活用効果
海外の優秀な開発チームとの連携により
- コスト削減:日本の開発費用の1/5〜1/10で高品質なシステムを開発
- 品質保証:契約は日本の企業で、打ち合わせからシステム導入まで二か国語を理解できるブリッジコンサルタントが担当
- コミュニケーション:日本語対応可能なブリッジSEによるスムーズな開発進行
この技術革新が実現する新しい可能性
従来は不可能だったことが可能に
従来のERP | 新時代のERP | |
導入費用 | 3,000万円〜 | 300万円〜(1/10) |
導入期間 | 2-3年 | 3-6ヶ月(1/6) |
運用人員 | 専任3-5名 | 兼任1名(1/5) |
効果実感 | 1年後 | 1ヶ月後(12倍速) |
対応業種 | 大企業全般 | 中小企業(飲食・小売・サービス・自動車整備・運送業) |
「智将KI」:中小企業のための新しい経営支援システム
40年間のコンサルティング経験を活かした業種特化型システム
私たちが開発する「智将KI」のコンセプトをご紹介いたします。
智将は、かつて戦国時代で存在した戦略や策略に長けている将軍・武将を指します。
智将KIとは、経営者の分身として企業内のあらゆる業務データを、ERPで結びつける経営者向けソフトです。AIによる高度な分析・予測・提案機能を持つ現代版の智将として、24時間365日経営をサポートする存在となります。
特に注力する業種
- 飲食業:メニュー分析、食材ロス削減、売上予測
- 小売業:在庫最適化、需要予測、仕入れ計画
- サービス業:顧客分析、スタッフ配置最適化、売上向上
- 自動車整備業:顧客管理、車検予測、部品管理最適化
- 運送業(タクシー業):配車最適化、運行効率分析、収益予測
システムが実現する3つの核心機能
1.統合データベース バラバラだった業務システムを統一
- 会計・給与・販売・在庫・顧客管理を一元化
- リアルタイムでのデータ連携
- 重複入力の排除と業務効率化
2.AI分析・予測機能 蓄積されたデータを基に
- 売上予測・需要予測・キャッシュフロー予測
- 問題発生の早期警告アラート
- 改善施策の具体的提案
3.経営支援AI まるで有能な役員がいるように
- 経営判断の選択肢を複数提示
- 各選択肢のシミュレーション結果を比較
- 戦略実行状況のリアルタイムモニタリング
従来システムとの決定的な違い
従来の業務システム | 智将KI | |
対象ユーザー | 事務担当者 | 経営者 |
主な機能 | 業務処理の効率化 | 経営判断の支援 |
データ活用 | 個別・断片的 | 統合・横断的 |
提供価値 | 作業時間の短縮 | 意思決定の質向上 |
時間軸 | 過去の記録 | 未来の予測 |
アプローチ | 部分最適 | 全体最適 |
よくある質問(FAQ)
Q1: 中小企業向けERPとは具体的に何ですか?
A: 会計・販売・在庫・顧客管理など、現在バラバラに動作している業務システムを統合し、経営者が一元的に会社の状況を把握できるシステムです。従来の「業務処理用」ではなく「経営判断支援用」に特化している点が最大の特徴です。
Q2: 従来のERPシステムとの違いは何ですか?
A: 従来のERPは大企業向けで高額(数千万円)かつ複雑でした。私たちの「智将KI」は中小企業向けに最適化し、導入費用を1/10(数百万円)に抑え、導入期間も3-6ヶ月に短縮。AIにより操作が簡単で、経営者自身が直接使えるよう設計されています。
Q3: AIとオフショア開発でなぜ安くなるのですか?
A: AI技術により開発工数を大幅に削減し、海外の優秀な開発チームとの連携で開発コストを1/5に削減。さらにAIが従来の経営企画部門の業務を代行するため、人件費を大幅に削減できます。
Q4: どの業種に対応していますか?
A: 飲食業、小売業、サービス業、自動車整備業、運送業(タクシー業)を中心に対応しています。これらの業種については40年間のコンサルティング経験があり、業界特有の課題と解決策を熟知しています。各業種の特性に合わせたカスタマイズと、実践的な導入支援を提供します。
Q5: 導入にはどのくらい時間がかかりますか?
A: 従来ERPの2-3年に対し、3-6ヶ月での導入を目指しています。段階的導入により、1ヶ月目から効果を実感していただけるよう設計されています。
なぜ開発過程を公開するのか?
透明性と共創による価値向上
私たちがこの開発過程を実況中継する理由は3つあります。
- ユーザー参加型開発:実際に使用する経営者の声を開発に反映
- 信頼性の確保:開発過程を公開することで、システムの信頼性を証明
- 共創による価値向上:経営者コミュニティとの対話を通じて、より良いシステムを構築
読者の皆様へのお願い
この挑戦は私たち単独では完成しません。実際に使っていただく中小企業経営者の皆様の声を聞きながら、本当に現場で役立つシステムを作り上げたいと考えています。
あなたの会社の課題や要望を聞かせてください。一緒に中小企業の未来を変えていきましょう。
まとめ
重要なポイント
- 現状認識:中小企業には「経営者向け」ソフトが存在しない
- 根本問題:業務処理システムがバラバラで、経営判断に活かされていない
- 通信簿経営の限界:過去の結果分析では、未来の改善策は見えない
- 技術革新の活用:AI×オフショア開発で、大企業専用ERPを中小企業にも
- 解決策:「智将KI」による統合的経営支援システム
この記事を読んで共感された経営者の方は、ぜひ開発過程にご参加ください。あなたの会社の課題や要望を聞かせていただき、本当に役立つシステムを一緒に作り上げていきましょう。
次回予告:「通信簿経営」から脱却する具体的方法
【7月上旬配信予定】 「『通信簿経営』から脱却せよ – 決算書が教えてくれないこと」
次回は以下の内容を詳しく解説します。
- なぜ決算書だけでは経営判断ができないのか
- 各業種の具体的事例で見る「見えない課題」
- 戦略・戦術・行動の改善サイクルの作り方
- 実際の中小企業で起きている問題と解決事例