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開発の最終段階で直面した「理論と実践の壁」
智将KI開発は最終段階に入り、自社AIによる過去データのシミュレーション機能は完成しました。しかし、正直に申し上げると、このシミュレーションデータを実際の決算見込みや中期計画に連動させることが、想像以上に困難であることが判明しました。
理論上では完璧に機能するはずの仕組みが、実際の経営計画に落とし込む段階で壁にぶつかっています。今回は、この「なかなかうまくいかない現実」を包み隠さずお伝えし、私たちが見つけた突破口についてご紹介します。
なぜ決算書からの経営計画では限界があるのか
従来の経営計画作成の根本的問題
以前からお伝えしているように、会計ソフトから出力される決算書の売上高は、日々の売上伝票を積み上げた年間合計に過ぎません。
従来の経営計画の作り方
• 前年売上高:5,000万円
• 今年目標:5,500万円(前年対比110%)
• 各部門への割り当て:一律110%増
この方法の問題点は明白です。「なぜ110%なのか」「どうやって達成するのか」が全く見えません。決算書から逆算すると、このような抽象的な目標設定しかできないのです。
ERPが明らかにする「売上高の多面的構造
しかし、ERPでデータを分析すると、同じ5,000万円の売上高が全く違う姿を見せます。
美容院(年商5,000万円)の売上構造分析例
①サービス別売上構造
• カット:2,000万円(40%)
• パーマ:800万円(16%)
• カラー:1,200万円(24%)
• トリートメント:500万円(10%)
• ヘッドスパ:300万円(6%)
• その他:200万円(4%) = 合計5,000万円
②地域別売上構造
• A地区(駅前店):2,500万円(50%)
• B地区(住宅街店):1,800万円(36%)
• C地区(商業施設店):700万円(14%) = 合計5,000万円
③時間帯別売上構造
• 10:00-12:00:800万円(16%)
• 12:00-15:00:1,500万円(30%)
• 15:00-18:00:1,200万円(24%)
• 18:00-20:00:1,500万円(30%) = 合計5,000万円
④曜日別売上構造
• 月曜日:400万円(8%)
• 火曜日:600万円(12%)
• 水曜日:700万円(14%)
• 木曜日:800万円(16%)
• 金曜日:900万円(18%)
• 土曜日:1,100万円(22%)
• 日曜日:500万円(10%) = 合計5,000万円
⑤スタイリスト別売上構造
• チーフスタイリスト:1,800万円(36%)
• スタイリストA:1,200万円(24%)
• スタイリストB:1,000万円(20%)
• アシスタント・その他:1,000万円(20%) = 合計5,000万円
これらの「5,000万円の足し算」は、それぞれが改善可能な具体的な要素を示しています。
AIとの対話で見える改善策、しかし実行への壁
理想的なAI活用シナリオ
ERPで分析したデータをもとに、経営者がAIと対話しながら改善策を検討する流れは以下のようになります。
経営者とAIの対話例
経営者:「カラーの売上比率を上げたいが、どうすればいい?」
AI:「過去データ分析によると、土曜日のカラー予約率が60%と低いです。土曜日限定のカラー+トリートメントセット(通常12,000円→10,000円)を導入すれば、年間240万円の売上増が見込めます。」
経営者:「A地区店の売上が伸び悩んでいる原因は?」
AI:「A地区店は平日18時以降の稼働率が30%と低いです。近隣のオフィスワーカー向けに『仕事帰りクイックメニュー』を導入し、SNS広告を展開することで、月50万円の売上増が期待できます。」
現実の壁:AIが自発的に提案しない
ここで直面した大きな課題があります。
ERPは実に器用に様々な分析データを出力できます。しかし、AIは経営者が適切に問いかけないとシミュレーションをしてくれないのです。
問題の本質
1. 質問力の差:経営者によってAIへの問いかけ方に大きな差がある
2. 学習不足:AIが自社の特徴を十分に理解していない
3. 汎用性の欠如:業種や規模に応じた活用法が未整備
4. 実行への断絶:シミュレーション結果を実際の計画に落とし込む仕組みが未完成
開発チームが見つけた突破口:無料AI研修による共創
なぜ無料研修を始めたのか
私たちは悩みました。完璧なシステムを作っても、使いこなせなければ意味がありません。そこで発想を転換しました。
「お客様と一緒に、AIの活用法を開発していく」
現在、私たちのチームはAIをまだ活用されていない企業様向けに無料AI研修を実施しています。これは単なる操作研修ではありません。
無料AI研修で実現すること
研修内容(90〜120分)
第1部:AIの基礎理解(30分)
• 生成AIの仕組みと可能性
• ChatGPT、Claude等の実演
• 中小企業での活用事例紹介
第2部:自社での活用検討(45分)
• 参加企業様の課題ヒアリング
• AIに何をさせたいかのブレインストーミング
• 具体的な活用シーン検討
第3部:実践演習(30分)
• 実際にAIを使った課題解決体験
• 効果的な問いかけ方の練習
• 成功パターンの共有
第4部:智将KIへの反映(15分)
• いただいたアイデアの智将KI実装検討
• 今後の協力関係の相談
お客様の声が智将KIを進化させる
実際にいただいた貴重なご意見
製造業経営者より: 「材料の仕入れ価格の変動を予測して、最適な発注タイミングをAIが教えてくれたら助かる。過去の価格データと市況を学習させて、『来月はこのタイミングで発注すべき』という提案が欲しい」
工事業経営者より: 「複数の現場を同時進行している中で、人員配置の最適化をAIに相談したい。天候リスクや工期、各職人さんのスキルを考慮して、『この現場にこの人を配置すれば全体効率が上がる』という提案があれば理想的」
これらの声は、単なる要望ではなく、智将KIが本当に解決すべき課題を教えてくれています。
共創による智将KI開発:皆様のお知恵をお貸しください
現在募集中の無料研修参加企業
対象企業
• 業種:製造業、小売業、サービス業、建設業、運送業など
• 規模:年商1億円〜10億円の中小企業
• 地域:全国対応(オンライン研修も可)
• 条件:AIをまだ本格活用していない企業様
研修で得られるもの
1. 即実践可能なAI活用法:明日から使える具体的手法
2. 社内のAI理解促進:経営幹部・社員のAIリテラシー向上
3. 智将KI先行情報:開発中の機能の優先体験
4. 継続的なサポート:研修後も質問・相談可能
私たちが学ばせていただくこと
• 業種別の具体的な経営課題
• AIに期待する機能と活用シーン
• 現場での実装における障壁
• 理想的なユーザーインターフェース
なぜ無料なのか
正直に申し上げます。私たちも学ばせていただいているからです。
お客様個別の具体例ではなく、「こんな場面でAIを使いたい」という考え方を収集し、それを智将KIに学習させることで、より多くの中小企業経営者の皆様にお役に立てる自社AIを提供できると考えています。
よくある質問(FAQ)
Q1: 無料研修に参加すると、智将KIの導入を強要されますか?
A: いいえ、全くそのようなことはありません。研修は純粋にAI活用の理解促進と、私たちの学習機会として実施しています。智将KIの導入は、必要性を感じられた場合のみご検討ください。
Q2: AI研修にはどのような準備が必要ですか?
A: 特別な準備は不要です。パソコンやスマートフォンがあれば体験可能です。自社の経営課題や改善したい業務について、簡単にお話しいただければ十分です。
Q3: 研修で話した内容は機密保持されますか?
A: はい、厳重に機密保持いたします。お聞きした内容は、一般化・抽象化した「考え方」としてのみ智将KI開発に活用し、個別具体的な情報は一切外部に漏れません。
Q4: オンライン研修と訪問研修のどちらが効果的ですか?
A: どちらも同等の効果があります。オンライン研修では画面共有で実演しやすく、訪問研修では社内の雰囲気を理解した上でのご提案が可能です。ご都合に合わせてお選びください。
Q5: 研修後のフォローはありますか?
A: はい、研修後も継続的にサポートいたします。LINEやメールでの質問対応、追加研修のご要望、智将KI開発進捗の共有など、長期的な関係を大切にしています。
次回予告:AI研修から学んでいること
【11月配信予定】 「AI研修から見えてきた中小企業の本当の課題 – 経営者が求める実践的AI活用法」
次回は、無料AI研修を通じて私たちが学ばせていただいている貴重な知見をお伝えします。
• 業種別のAI活用アイデア集:製造業・工事業・サービス業での実践的な使い方
• 経営者が本当に困っている課題:データはあるのに活用できない理由
• AIへの期待と不安:中小企業経営者のリアルな声
• 智将KIへの実装計画:研修で得た知見をどう製品に反映させるか
読者の皆様へ
この記事を読んだ経営者の方で、自社にとって活かせる方法・活かしたい方法があれば遠慮なくご意見・ご感想をお寄せください。大企業にしかできなかった経営を、私たちが作る経営者向けソフトウェア(智将KI)によって中小企業経営者のものとすることが私たちの望みです。
特に以下のような方のご参加をお待ちしています。
• 売上分析は見ているが、改善策が見えない経営者
• AIに興味はあるが、何から始めればよいか分からない方
• ERPシステム導入を検討しているが、費用対効果が不安な方
• 後継者育成にデータ活用を取り入れたい方
開発の壁にぶつかっている今だからこそ、皆様の生の声が必要です。一緒に中小企業の経営革新を実現していきましょう。
お問い合わせ・無料研修お申込み
メールでのお申込み
• 件名:「無料AI研修希望」
• 宛先:info@soleil-zc.co.jp
• 記載事項:企業名、業種、参加人数、希望日時(第3希望まで)
このページの下部、「メールでのお問合せ」からも承っております。
お問合せ項目は「その他」で結構です。企業名、業種、参加人数、希望日時(第3希望まで)をお書きください。
皆様の声が、智将KIをより良いシステムにします。一緒に、中小企業の事業承継問題を解決していきましょう。