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留学生と創る地方観光戦略世界の視点が生み出す新たなビジネスチャンス | 株式会社ソレイユ財産管理

留学生と創る地方観光戦略
世界の視点が生み出す新たなビジネスチャンス

留学生の視点が明かす地方観光の新戦略

人口減少と観光客減少に悩む地方都市にとって、インバウンド観光の復活は喫緊の課題です。しかし、「地方には何もない」「外国人には魅力的に映らないだろう」と諦めている中小企業も少なくありません。

そんな中、人口減少と地域経済の縮小に直面している新潟県上越市で実施された外国人留学生インターンシップが、地方観光の新たな可能性を示しています。上越市は日本海に面した人口約18万人の歴史ある城下町ですが、ピーク時から約4万人も人口が減少し、商店街のシャッター街化も進んでいます。江戸時代から続く雁木通りや老舗酒蔵、豊かな自然など貴重な観光資源を持ちながらも、全国的な知名度の低さから観光客誘致に苦戦している地方都市です。

参加したのは、世界有数の観光地バリ島出身で、大分県別府市の立命館アジア太平洋大学(APU)で学ぶトラヴィさん(国際経営学部2年生)。彼女の視点から見えてきたのは、地方が持つ「隠れた宝物」と、それを活かす具体的な方法でした。

世界基準の視点で見えた地方観光の真価

「静けさ」の中に眠る文化的資産

トラヴィさんは、上越での体験をこう振り返ります。
「別府で生活し勉強している私は、別府を静かな街だと常に思っていました。温泉が多く、長い観光の歴史を持つ街です。しかし、上越に来てその考えは変わりました。上越は別府よりさらに静かに感じましたが、その一方で、数多くの文化的・歴史的な資産を有していることに驚かされました。特に印象的だったのは、こうした宝物のような場所が地域外にはあまり知られていないということです。」

この発言は、地方観光業者にとって重要な示唆を含んでいます。外国人観光客、特に質の高い体験を求める「プレミアム旅行者」にとって、過度な商業化や騒がしさは必ずしも魅力ではありません。むしろ、静けさの中に本物の文化や歴史を感じられることこそが、真の価値となるのです。

本物の体験が生む感動:君の井酒造での発見

特に印象的だったのが、天保時代から続く君の井酒造(妙高市)での体験です。

「天保時代から続くその歴史や伝統的な建築、そして日本酒造りの工程についての説明を聞く中で、その本物らしさに深く感銘を受けました。プレミアムツーリズムにおいては、ここに強い可能性があると感じました。例えば、試飲と料理のペアリングを提供したり、酒造りの一部を体験できるようにすることで、より記憶に残る体験になると思います。」

バリ島という世界的観光地で育ったトラヴィさんだからこそ見えた「プレミアムツーリズム」の可能性。単なる見学ではなく、ストーリー性のある体験こそが、外国人観光客の心を掴む鍵となることを示しています。

家庭的な温かさが最大の魅力:そば打ち体験

最も印象に残った体験として挙げられたのが、そば打ち体験でした。

「まるで誰かの家に招かれたような、非常に温かく個人的な体験でした。そば職人さんや家の方々はとても親切で、畑で収穫した野菜までいただきました。自然光が差し込む田舎の家で、窓の外には田んぼや山々が広がり、とても居心地の良い雰囲気でした。(中略)まるでおばあちゃんの家に遊びに行ったような、家庭的で温かな雰囲気が何より魅力的でした。」

この体験談から見えてくるのは、外国人観光客が求める「本物の日本体験」の本質です。洗練された観光施設よりも、地域の人々の実際の生活に触れられる体験の方が、より深い感動を与えることがわかります。

留学生との協働で見えた実践的な改善点

雁木通り:商業化とのバランスが課題

雁木通りは、江戸時代から続く上越市の代表的な歴史的街並みです。「雁木」とは、雪国特有のアーケード状の通路のことで、建物の軒先を道路側に張り出して屋根を付けた構造により、冬の雪や雨をしのぎながら歩くことができ、風情ある町並みを形成しています。
この歴史ある雁木通りについて、トラヴィさんは鋭い指摘をしています。

「古都・京都の古い町並みを思わせるようなレトロな雰囲気でありながら、過度に商業化されていない点が良かったです。この通りには明治時代から続く映画館や、老舗の和菓子屋があるなど、特別な魅力があります。ただ、多くの店が閉まっていて、少し静かすぎる印象も受けました。課題は、この通りを人々が楽しめる場所にしながらも、観光客で溢れ返るような観光地にはしないことだと思います。」

この指摘は、地方観光開発の根本的な課題を突いています。過疎化による店舗閉鎖と、過度な観光地化への懸念。両方のバランスを取りながら、持続可能な観光地づくりを進める必要があることを示しています。

茶道体験:格式とアクセシビリティの両立

古民家カフェ「平左衛門」(上越市)での茶道体験についても、建設的な提案がありました。

「お茶や和菓子についての説明はとても分かりやすく楽しめましたが、プレミアム旅行者向けとしては、もう少し格式高い雰囲気が必要かもしれません。着物や浴衣を着て参加できれば、より没入感が高まるでしょう。茶道は日本中どこでも体験できますが、ここでの特別さは古民家という舞台にあります。」

この提案から見えるのは、既存の観光コンテンツを「プレミアム化」するための具体的な方法です。大きな投資は必要なく、演出や付加サービスを工夫することで、より高付加価値の体験を提供できることがわかります。

外国人留学生との協働を成功させる実践的方法

SNS発信力を活かした情報発信戦略

「私はマーケティングやSNSの経験を持っており、特にTikTokやInstagramなどのショート動画制作に強みがあります。これは上越を海外に広く発信していく上で重要な力になると考えます。」

中小企業が単独では難しい海外向けSNS発信も、留学生との協働により実現可能になります。特にショート動画は、現在最も効果的な観光PR手法の一つです。

観光地としてのバリ島経験を活かした持続可能な開発提案

トラヴィさんの出身地であるバリ島での経験は、地方観光開発にとって貴重な示唆を与えています。

「私は世界でも有数の観光地であるバリ島で生まれ育ちました。地元でありながら、観光によって日常生活が大きく変わっていく様子を常に見てきました。(中略)観光がもたらすプラス面とマイナス面、その両方を肌で感じてきたことが、私にとって大きな財産です。」

この経験に基づく提案は、単なる観光客誘致ではなく、地域コミュニティを尊重した持続可能な観光開発の重要性を示しています。

中小企業が今すぐ始められる協働の形

1. インターンシップ制度の導入

期間設定: 長期休暇中の2週間程度
業務内容: 観光コンテンツの外国人目線での評価・改善提案
成果物: SNS用コンテンツ制作、改善レポート作成

2. 既存観光コンテンツのブラッシュアップ

酒蔵・工房見学の高付加価値化

• 体験要素の追加(試飲、手作り体験等)
• ストーリーテリングの強化
• 料理とのペアリング提案

伝統文化体験の演出強化

• 衣装レンタルサービスの追加
• 写真撮影サービスの充実
• 多言語対応の改善

3. 地域の人々との交流機会の創出

家庭的な体験の商品化

• 農家での収穫・料理体験
• 地域住民との交流プログラム
• 季節行事への参加機会

4.「外国人目線の商品開発」プロジェクト

具体的な実施方法

• 留学生に自社商品・サービスを母国の友人に紹介してもらう
• SNSでのリアルタイム反応を収集・分析
• 「なぜ魅力的に感じるのか」「何が分からないのか」を詳細ヒアリング
• 価格設定や販売方法についても外国人視点でアドバイス

期待効果: 既存商品の海外展開可能性の発見、意外な魅力の再発見

成功のためのポイント

1. 相互学習の姿勢

留学生から学ぶだけでなく、日本の文化や地域の歴史を伝える双方向の関係を築くことが重要です。

トラヴィさんのレポートでは、「どの決定にも細部まで論理的な理由付けがあることを知り、私自身も物事の『なぜ』を掘り下げて考える姿勢を取り入れようとしています」と述べられています。

これは日本のビジネス環境における「根拠に基づく意思決定プロセス」「詳細な計画立案」「品質へのこだわり」といった働き方の特徴を、実際の業務を通じて学んだことを示しています。留学生にとって、この体系的なアプローチは母国でのキャリア形成にも大きく役立つ貴重な経験となります。

2. 長期的な関係構築

一時的なプロジェクトではなく、継続的なパートナーシップを築くことで、より深い成果が期待できます。

3. 地域全体での取り組み

個々の企業だけでなく、行政や観光協会、地域住民との連携により、面的な魅力向上を図ることが必要です。

4. 双方向の学習機会

学生から学ぶ姿勢を持ち、同時に日本のビジネス文化や技術も伝える双方向の関係を築きましょう。

まとめ:新たな観光戦略への第一歩

トラヴィさんの体験レポートは、地方観光の新たな可能性を明確に示しています。

「上越で働く経験は、私にとって非常に刺激的で貴重なものでした。ここには豊かな歴史と文化、そして大きな可能性があると実感しました。適切なストーリーテリングとプレミアムなおもてなし、そして丁寧な開発があれば、上越は国際的な訪問者にとって唯一無二の目的地として輝くことができると信じています。」

この言葉の通り、地方には都市部にはない魅力があります。必要なのは、外国人の視点でその魅力を再発見し、適切な形で提供することです。

外国人留学生との協働は、その第一歩として最適な方法です。まずは短期インターンシップから始めて、あなたの地域の隠れた宝物を再発見してみませんか。

海外留学生の雇用にあたってのご相談や、インターンシップ制度の導入についてお手伝いできることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。あなたの会社の海外展開への第一歩を、一緒に踏み出しましょう。

監修者

宮澤 博

税理士・行政書士
税理士法人共同会計社 代表社員税理士
行政書士法人リーガルイースト 代表社員行政書士

長野県出身。お客様のご相談に乗って36年余り。法人や個人を問わず、ご相談には親身に寄り添い、 お客様の人生の将来を見据えた最適な解決策をご提案してきました。長年積み重ねてきた経験とノウハウを活かした手法は、 他に類例のないものと他士業からも一目置くほど。皆様が安心して暮らせるようお役に立ちます。

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