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100ヵ国の留学生に囲まれた視点が発見した地方の魅力多文化環境で育った人材が描く観光戦略 | 株式会社ソレイユ財産管理

100ヵ国の留学生に囲まれた視点が発見した地方の魅力
多文化環境で育った人材が描く観光戦略

国際的な学習環境が生んだ独特な観察眼

前回、バリ島出身の留学生トラヴィさんが新潟県上越市で発見した地方観光の可能性についてお伝えしましたが、同じ立命館アジア太平洋大学(APU)から、今度はモンゴル出身のアヌさんが同地域でのインターンシップを体験しました。異なる文化的背景を持つ2人の留学生が、それぞれ独自の視点で同じ地域の魅力を発見していく過程は、外国人雇用を検討する中小企業にとって興味深いヒントを与えてくれます。

外国人雇用を検討する中小企業にとって、「多様な文化的背景を持つ人材がどのような価値を生み出すのか」は重要な関心事です。アヌさんの体験は、多文化環境で育った人材の独特な価値創造能力を明確に示しています。

APUは世界100ヵ国以上から学生が集まる国際色豊かな大学で、アヌさんは「常に100か国以上から来たクラスメートに囲まれ、文化的多様性や意見交換の機会に恵まれてきました」と語ります。この環境で培われた独特な視点こそが、地方観光に新たな可能性を見出すカギとなったのです。

多文化環境が育む「橋渡し」の能力

「ローカルとグローバルを同時に見る力

アヌさんの最大の強みは、物事を「ローカルとグローバル両方の視点から捉える力」です。この能力は一朝一夕で身につくものではなく、日常的に多文化環境に身を置いてきた経験の産物です。

「APUの学生として、私はまるで橋渡しの役割を果たしているように感じました。一方では、地元の人々から深く学び、伝統を理解しようとしました。他方では、『本物らしさ』と『快適さ』の両方を期待する訪日観光客がこれらの体験をどのように受け取るかを客観的に考えていました。

この「二重の視点」こそが、外国人材が企業にもたらす価値の本質です。単に外国語ができるだけではなく、異なる文化的背景を持つ顧客の心理を深く理解し、的確な提案ができる能力なのです。

日本人が見落とす「当たり前の価値」を発見

地方の魅力を再発見するうえで、アヌさんが示したのは日本人には見えない価値の発見能力でした。

「最も印象的だったのは、地元の人にとっては当たり前に見えるこれらの営みが、訪問者の目には独特で強力な魅力を持つ観光資源に映ることでした。地域の暮らしの中で、たとえばおじいさんが丁寧に庭を手入れする姿、家族が協力して寺を維持する様子、そして代々受け継がれてきた技術を根気強く弟子に伝える職人の姿を目にしました。」

この観察力は、商品開発や顧客サービスにおいて極めて有効です。日本人経営者にとって「普通」に見える自社の強みを、外国人材は新鮮な驚きとして捉え、それを価値ある商品として再構築する提案ができるのです。

体験を通じて見えた外国人材の分析力

そば打ち体験:多層的な価値分析

アヌさんのそば打ち体験での分析は、単なる感想を超えた戦略的な視点を示しています。

「この体験の特別さは、『学び』『努力』『成果』が一体となっていた点です。手打ちのそば作りは集中力と正確さを要し、包丁の動きや生地の状態の細部が結果を左右しました。同時に楽しく、インタラクティブでもありました。そして最後に自分で打ったそばを食べられる瞬間は格別で、誇らしさと地元文化へのつながりを強く実感しました。これは通常の食事では得られない体験であり、まさに『参加する観光』の価値を象徴していると思いました。」

この分析から見えるのは、体験を構成する複数の要素を的確に整理し、それぞれの価値を言語化する能力です。これは商品・サービスの改善提案において非常に有効なスキルといえるでしょう。

書道体験:文化の本質を理解する洞察力

書道体験での気づきは、さらに深い文化理解を示しています。

「書道は単なる芸術的な技法ではなく、内面を映し出すものです。筆の一筆一筆には、書き手の感情や心の状態、そしてアイデンティティが表れます。(中略)芸術や技術を超え、哲学と自己表現がつながっている点こそ、この体験を特別にした理由です。」

表面的な理解を超えて、その文化の本質的な価値を見抜く能力。これは顧客との関係構築や商品の差別化において、極めて重要な視点となります。

実践的な改善提案能力の高さ

「Glowetsu」ブランド戦略への提言

「Glowetsu(グロウエツ)」とは、上越・妙高・長野県信濃町の地域を、県境や市町村の区分を越えてひとつの観光エリアとして捉えた新しい呼び名です。「glow(ほのかな光)」と「etsu(交差する)」を組み合わせ、小さな魅力が集まって特別な観光地として輝く地域を表現しています。

このブランドコンセプトに対して、アヌさんは的確な戦略提言を行いました。

この指摘は、地方観光開発の根本的な課題を突いています。過疎化による店舗閉鎖と、過度な観光地化への懸念。両方のバランスを取りながら、持続可能な観光地づくりを進める必要があることを示しています。

「私はGlowetsuが隠れた『プレミアムな日本』を代表するブランドになるべきだと考えます。上越は東京や京都のように混雑しておらず、この静けさこそ最大の強みです。主要観光地でのオーバーツーリズムに疲れた訪問者にとって、上越は本物らしさと平和、そして深みを提供します。」

この提言は、現在の観光業界のトレンドを的確に把握し、競合との差別化ポイントを明確に示した戦略的な提案です。

具体的な改善提案の実践性

各体験への改善提案も、実現可能性と効果の両面を考慮した実践的なものでした。

そば打ち体験の改善案
• 手打ちそばの技術的な側面と文化的価値を強調
• 単なる料理教室を超えた「文化的物語」の提供
• 教育的かつ体験的なワークショップとしての再構築

書道体験の改善案
• 「自己探求」としてのブランディング
• 完成作品を掛け軸や装飾品に仕立ててプレミアム感を付加
• 日本語と英語での哲学的背景説明

観蓮会(高田城址公園)の改善案
• 多言語解説とシンボルとしての蓮の説明導入
• SNS発信を促進するフォトスポット設置
• 早朝ツアーによるプレミアム体験の創出

これらの提案は、既存リソースの活用で実現できる現実的なものばかりです。

外国人材活用の新しいモデル

「バランス感覚」という付加価値

信濃町の野尻湖での体験分析から見えてくるのは、異なる文化要素のバランスを評価する高い能力です。

「この体験の特別さは『バランス』にありました。神社や自然美が『日本らしさ』を感じさせる一方で、西洋風の建物やカフェはリゾート地としての国際的な魅力を加えていました。私はこの組み合わせを評価し、Glowetsuが歴史や伝統にとどまらず、『ライフスタイル観光』としての可能性を持つことを実感しました。」

このような「バランス感覚」は、グローバル市場で競争力を持つ商品・サービス開発において極めて重要な視点です。

継続的な成長マインドセット

アヌさんの学習姿勢も注目すべき点です。

「このインターンシップは単なる業務経験ではなく、自己省察と成長の旅でもありました。(中略)同時に、『本物らしさ』だけではプレミアム観光客を引きつけるには不十分であることも学びました。ストーリーテリング、アクセス性、丁寧に設計されたパッケージが伴って初めて、旅はシームレスで意味があるものになるのです。」

失敗を恐れず、常に改善点を見つけて学び続ける姿勢。これは企業の成長にとって欠かせない要素です。

中小企業が活用すべき外国人材の真価

市場開拓のパートナーとしての可能性

アヌさんのような多文化環境で育った人材は、単なる労働力ではなく、新市場開拓のパートナーとしての価値を持っています。

具体的な活用方法

 1. 商品・サービスの多文化対応設計

 o 既存商品の海外展開可能性の評価
 o 文化的配慮が必要な要素の特定
 o 現地ニーズに合わせたカスタマイズ提案

 2. 顧客体験の国際化

            o 外国人顧客の視点での改善提案
            o 文化的な誤解を避けるコミュニケーション設計
            o 「おもてなし」の国際的な伝え方

 3. ブランド戦略の構築

   o 日本的価値の国際的な表現方法
   o 競合との差別化ポイントの発見
   o 長期的なブランド戦略の提言

投資対効果の高い人材活用

外国人材の活用は、国際的な視点を企業内に取り込める効果的な方法です。

期待できる具体的効果

  • 既存事業の新たな価値発見
  • 海外展開時のリスク軽減
  • イノベーションの促進
  • 組織全体の国際化マインド向上

まとめ:多様性が生み出すイノベーション

アヌさんの体験レポートから見えてくるのは、多文化環境で育った外国人材の持つ独特な価値創造能力です。

「振り返って最も価値があったのは、学生としての自分の目と、国際的な訪問者の目を想像して見た上越の両方を体験できたことです。この二重の視点こそが経験を意味あるものにし、観光においても人生においても『ローカル』と『グローバル』が調和して出会うことの大切さを教えてくれました。」

この「二重の視点」こそが、グローバル化時代を生き抜く企業に必要な能力です。外国人材の活用は、単なる人手不足の解決策ではなく、企業の競争力強化のための戦略的投資といえるでしょう。

地方の中小企業であっても、適切な外国人材との協働により、世界に通用する商品・サービスの開発が可能になります。多様性こそが、次世代のイノベーションを生み出す最も確実な方法なのです。

監修者

宮澤 博

税理士・行政書士
税理士法人共同会計社 代表社員税理士
行政書士法人リーガルイースト 代表社員行政書士

長野県出身。お客様のご相談に乗って36年余り。法人や個人を問わず、ご相談には親身に寄り添い、 お客様の人生の将来を見据えた最適な解決策をご提案してきました。長年積み重ねてきた経験とノウハウを活かした手法は、 他に類例のないものと他士業からも一目置くほど。皆様が安心して暮らせるようお役に立ちます。

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