はじめに:就労ビザとは何か?
A社長:「外国人労働者を雇うには就労ビザが必要だと聞きましたが、具体的にどのような手続きがあるのでしょうか?」
私たち:「就労ビザ(在留資格)は、外国人が日本で働くために必要な許可のことです。在留資格の種類によって従事できる職種や期間が異なるため、適切なビザを取得することが重要です。」
1. 就労ビザの取得手続き
在留資格認定証明書の取得
- 雇用主(企業)が出入国在留管理庁に申請。
- 承認後、外国人が母国の日本大使館でビザを申請し取得。
- 来日後、在留カードが発行される。
必要な書類
- 雇用契約書(仕事内容、雇用期間、給与など明記)
- 会社概要書類(登記簿謄本、決算書など)
- 外国人労働者の履歴書、卒業証明書、職務経歴書
- 在留資格認定証明書交付申請書
審査期間
- 通常、1~3ヶ月かかるが、審査状況によってはさらに長引くこともある。
出入国在留管理庁の場所と取扱いエリア
- 日本全国にある地方出入国在留管理局(東京、大阪、名古屋、福岡、札幌、仙台、広島、高松)およびその支局・出張所が申請を受け付ける。
- 申請先は、雇用主の所在地または外国人労働者の居住予定地の管轄区域内の出入国在留管理庁。
- 東京出入国在留管理局(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県など広範囲をカバー)。
- 大阪出入国在留管理局(大阪府・兵庫県・京都府など関西圏)。
- 名古屋出入国在留管理局(愛知県・岐阜県・三重県など東海地方)。
- 福岡出入国在留管理局(九州全域)。
- 各出入国管理局で対応できる申請内容が異なるため、事前に確認が必要。
2. 現在外国にいる外国人労働者を採用する場合のステップ
採用計画の策定
- どの在留資格で雇用するのかを明確にする。
- 日本語能力の要件や職務内容を確認。
候補者の募集と選考
- 現地の人材紹介会社や監理団体と連携。
- オンライン面接の実施(技能試験や日本語能力試験も必要)。
在留資格認定証明書の申請
- 企業が出入国在留管理庁に申請し、証明書を取得。
- 審査期間中、候補者と継続的に連絡を取る。
ビザ申請と発給
- 外国人が母国の日本大使館・領事館でビザを申請。
- 必要書類を企業から送付し、手続きをサポート。
渡航と入国手続き
- 航空券の手配や来日時の住居を準備。
- 入国後、在留カードを取得し、住民登録を行う。
雇用開始とフォローアップ
- 労働契約書の再確認。
- 社会保険、銀行口座開設などの手続き。
- 日本での生活サポートを提供。
3. 就労ビザの変更の可能性
職種変更時の資格変更
- 例えば「技術・人文知識・国際業務」から「経営・管理」への変更など、業務内容が大きく異なる場合は、資格変更が必要。
- 変更申請は出入国在留管理庁にて行い、審査には数ヶ月かかることがある。
在留資格の格上げ
- 「特定技能1号」から「特定技能2号」への移行は可能。
- 「高度専門職1号」から「高度専門職2号」への移行により、永住許可が早まる。
転職時の対応
- 同じ在留資格内での転職は可能だが、業務内容が変わる場合は入管に届け出が必要。
- 特定技能、技能実習は転職が原則不可、例外的な許可が必要。
4. 就労ビザの取り消し要件
長期間の無職
- 就労ビザで日本に滞在しているのに、3ヶ月以上仕事をしていない場合、在留資格が取り消される可能性がある。
虚偽の申請
- 学歴や職歴を偽って在留資格を取得した場合、取り消しの対象となる。
- 雇用主が虚偽の雇用契約を結んでいた場合も同様。
法律違反・不適切な行為
- 違法な副業や資格外活動を行った場合。
- 日本の法律に違反した場合(犯罪行為など)。
5. 一時帰国時の在留資格の扱い
再入国許可制度
- 一時帰国後も引き続き日本で働く場合、「みなし再入国許可」制度を利用できる。
- 1年以内に再入国すれば、再度ビザを取得する必要がない。
- 1年以上海外に滞在する場合は、事前に「再入国許可」を取得する必要がある。
在留期間の管理
- 在留期限が切れる前に帰国してしまうと、再入国時に新たな申請が必要になるため注意。
雇用契約の維持
- 一時帰国中も雇用契約が継続しているかを確認。
- 帰国中に契約が終了すると、再入国後のビザ更新が難しくなることがある。
まとめ:適切なビザ管理で安定した雇用を
A社長:「就労ビザは取得するだけでなく、管理や変更にも注意が必要なんですね。」
私たち:「はい。特に長期間の無職や資格外活動は、ビザの取り消しリスクがあるため、定期的な確認が必要です。一時帰国時の再入国手続きも忘れずに行いましょう。」
A社長:「手続きをスムーズに進めるために、専門家にも相談しながら進めます!」